au Design project

2019.01.23

【レポート】グッドデザイン賞2018「新・ケータイ INFOBAR 展」デザインツアー

日時: 2018年11月5日(月) 18:30 ‒ 21:00
会場:インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター
講師:インフォバーデザイナー 深澤直人
au Design project 砂原哲

2018年度グッドデザイン賞を受賞したデザインを知るツアーの一つとして、INFOBAR xvのデザインツアーが「新・ケータイ INFOBAR 展」(2018年10月31日〜11月12日 21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3)開催期間中の 2018年11月5日に行われました。そのレクチャーの様子を、当日投影されたスライドと共にご紹介いたします。終始、オフ会のような和やかな雰囲気の中でレクチャーは進行しました。そしてレクチャー終盤「INFOBARは不滅です!」と深澤さん♪

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砂原:皆様、本日は「新・ケータイ INFOBAR 展」デザインツアーにお越しくださいましてありがとうございます。今日のレクチャーは「新・ケータイ INFOBAR 展」を各自でご覧いただいた後で、展示内容について解説させていただく形式になっています。今、ちょうど、デザインウィークの期間中で、深澤さんはいろいろなトークイベントにひっぱりだこで昨日もそうでしたよね?

深澤:先週からずっと出突っ張りです。デザイン関係者の前で話すことが多かったんですけど、今日はちょっとノリが違いますね(笑)

会場:(笑)

砂原:今日は、これまで何回か実施したINFOBARファンミーティングに参加いただいたINFOBARファンの皆様にもたくさん来ていただいているので、オフ会的なアットホームな雰囲気ですね(笑)それでは、まず「新・ケータイ INFOBAR 展」の会場の画像を見ながら進めていきたいと思います。

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砂原:「INFOBAR 展」の入り口には「INEVITABLE(必然)」と題された深澤さんのテキストが掲示されていますが、まずはこの内容について解説いただけますか。

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INEVITABLE(必然)

最初にインフォバーを考えた2001年頃、ケータイはいずれスマホになるだろうなということを予測していた。だから尚更二つ折りのクラムシェルタイプが定番化することに違和感があった。技術の進化や新しいコミュニケーションのかたちは人の行為動作までも新しくする。技術が変わればそのものと人の関係も変わる。

インフォバーはその進化の先を読んでデザインしたから15年もの激しい変化の中で生き残ってこれたのだと思う。思えば適正なサイズの情報が表示できて10キーが付いているかたちは電卓がPCに進化しても変わらず、それをポケットにしまえる電話機にしただけだから必然の姿といえなくもない。PCのキーボードがスクリーンの中に収まればタブレットPCになり、そのポケット版はスマホになる。インフォバーは電話からの進化よりもPCの進化上にある携帯情報端末として考えた。

KDDIの砂原さんが新しいケータイをデザインしてくれと私を訪れたのは2001年でその時に私はレゴを積み上げたバータイプの携帯電話みたいなものや石鹸の塊などを見せて、「こんなのどうでしょ」と問いかけた。レゴは子供がおもちゃとして組み立てる電話みたいなもの。石鹸は英語でバーソープと言ったからバータイプはなんかすでにケータイのアイコンになるのではないかという予想があった。積まれたレゴがカラフルだったためか、あるいはケータイが時計の次に身につける電子機器になるだろうということはわかっていたから、装身具としてキーに色を使えないかということも発想した。いろんな色の組み合わせが斬新だった。

スマートフォンが私たちの生活を大きく変えた。インターネット上の端末として世界に革命を起こした。全てをコントロールできる携帯情報端末は電話とメールとナビだけができればいいという特化した機能を持った端末の登場も予感させる。リストなのか手のひらの中なのか。新しいケータイ、 「シンケータイ」というものは再び登場するのだろうか。いずれにせよ進化とは必然である。

深澤直人
インフォバーデザイナー



INEVITABLE

In 2001, when I first thought about the INFOBAR concept, I already predicted that the mobile phone will soon become a smartphone. There was a sense of unsureness rather if the clamshell type would become more popular in Japan market or not. The evolution of technology created new forms of communications and ended up changing peoples’ life activities and behaviors. When the technology changes, the relationship and interaction betweeen people and products are also changing.

I designed the INFOBAR while considering the future evolutions in our daily life, I believe that this is the main reason that the INFOBAR has survived the rapid changes if the last 15 years. 10 keyboard buttons, and an ideal minimal display calculator, which will not change even when evoleved into a PC. If the keyboard of the PC integrated into a touchscreen, it becomes a tablet PC, and its pocket version becomes a smartphone. From the very beginning, I thought about the INFOBAR concept more as a mobile information device which evolved from a PC, rather than an evolution of a phone.

When Mr. Sunahara from KDDI asked me to design a new mobile phone in 2001, I showed him a model I made using LEGO bricks to create a mobile phone bar type and asked him: “How about this?”. LEGO is the first customize-self-assembled toy for every child, so as like the customizable smartphone for grown-ups now. I also showed him a solid soap, (since in English is called “Bar Soap”), with the ecxpectation that this mobile phone will become an icon for the bar-type phone. For the LEGO model, I used quite clorful combination bricks, because I knew that the cell phone would become the next electronic daily wearing item, after a watch. I thought of using the keyboard buttons to make it as a fashion jewlry object. The combination of various colors for the buttons was quite innovative and unique.

Smartphones have had greatly changed our lives. It revolutionized the world as the primary internet device for daily use. As for now, smartphones have enough functions to control everything we need for daily life. In the next generation, the mobile devide might become more limited, with specialized functions, for exampe, phone, email, and navigation only. Will it be on the wrist or in the palm of our hand? Will it become “SHINKTAI (New Classic Phone)” and appear again? In any case, evolution is inevitable.

Naoto Fukasawa
INFOBAR Designer



深澤:"INEVITABLE"は英語圏でもあまり使われない言葉ですが、自分はよく使う言葉です。デザインも自然の流れに沿って、必然的に生まれてくるもの。 必然的な流れを予見しながら素直に作っていかなければならない。最初のINFOBARはもう15年前ですが、その時から必然的な進化の先を読みながら「こんな感じになるのではないか」と思いつつデザインしたんです。それだから、15年もの激しい変化の中で生き残ってこれたのだと思います。「携帯電話が身の回りに来た」という感じよりは「インターネットが身の回りに来た」ということを予見したところがある。当時は二つ折りのケータイが流行っていたんですが「それだけではないのでは?」という思いがあってバータイプになった。僕の仕事は必然的に流れていくものが多いんです。INFOBARはみんなが乗り込める共通のプラットフォームになり得たのではないかと思います。

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砂原:この深澤さんのテキストは、実は2017年に発表したコンセプトモデル「SHINKTAI」の解説文とほぼ共通ですよね。「SHINKTAI」はスマホ依存やデジタルデトックスに対する関心が世界的に高まっている中で「つながり過ぎない贅沢」というコンセプトを形にしたものです。たまにはスマホを休んで心の安らぎを得ることを提案したわけですが、今年になってこのINFOBAR xvだけでなく、例えばカード型ケータイのようなものも出て来ましたよね。

深澤:カード型というのももちろん必然的に出てくるだろうなと僕らの中では読んでいました。スマホもそれなりに成熟して、時代がINFOBARやカード型ケータイのようなものを必然的に欲したのではないかと思います。

砂原:それでは続いて、会場に入って右手にあるINFOBAR xv静展示コーナーの解説に移りたいと思います。このコーナーはINFOBAR xvの「かたち」が着想されてから製品に至るまでの過程で生まれたスケッチやモックアップなどが展示されています。INFOBAR xvのデザインを初めて見たとき、本当に久しぶりに心ときめきました。「もの」の力、「かたち」の持つ力はやっぱりすごいなと。深澤さん、この「愛されるかたち」とでも言うべき「かたち」はどこから生まれてきたのでしょうか?

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深澤:デザイナーとすると、次にどういう形がくるのか分かってしまうんです。ただ生産技術にまで落とし込めて初めてデザインは成立するわけですけど。今回は「次に来るINFOBARはなんだろう?」というところから始めて、レンズを切り取ったような曲面だと。

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深澤直人氏によるスケッチ
Sketch by Naoto Fukasawa
2017

砂原:このスケッチは2017年11月のデザインキックオフの時に深澤さんがその場で描いたものですよね。

深澤:話をもらった時点ですぐ絵を描き始めていました。最近こういう絵が多いです。なぜかと言うと、テクノロジーが進化したのでスケッチはものすごい簡単になったというか、複雑なスタイリングと呼ばれるスケッチを描く必要がなくなったので。それと、概念をできるだけ明確に描くというとすごく単純なかたちになる。単純なかたちでできるモノというのは、技術的には作るのは大変なんだけど、それだけ技術が進化したということも言えるかもしれないですね。

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深澤直人氏によるラピッドプロトタイプ
Rapid Prototype by Naoto Fukasawa
2017

砂原:そしてこれがその時一緒に出していただいたケミカルウッドの簡易モックですよね。

深澤:そうですね。アイコンと言っているんですけど、アイコンと言うのは『2001年宇宙の旅』とか『猿の惑星』とかでガーンと出て来る人工的な一つの彫刻の塊みたいな象徴的なモノです。それをまず作ろうというのが重要です。

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形状確認のためのプロトタイプ
Prototype Model for Shape Study
2017

砂原:これがだんだんと精緻になっていく姿です。

深澤:そうですね。三次元プリンターが発達してるので、絵を描いているそばからこっちでもう立体が出来上がってくるような時代ですね。

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プロトタイプ
Concept Model
2018

砂原:これはまだコンセプトの時のモックアップです。

深澤:そうです。すごいとんでもないことやってるんですよ。難しいこと。これ、キーが露出してるんです。初代INFOBARのコンセプト、info.barには縁がなくてキーだけなんです。それをエンジニアが15年間かかって初めて実現したんです。普通、PC見てもキーボードのところにはちゃんと枠があってキーが飛び出していることはないと思うんです。要はフレームレスで、それがこの新しさを出している。琥珀のような含浸させた技術、つまり筐体という外装と中身という概念がどんどんなくなりつつありますよね。そうすると何が起きるかと言うと、例えばウインドウのフレームが無くなったり、キーボードの枠が無くなったりする。これも必然で、別にデザイナーが考えているわけじゃなくて、みんなテレビの縁って昔こんなにあったけど、今はどんどん薄くなっている。そのうち無くなる時が必ず来るんですよね。それを先取りしてキーボードの縁を無くしてしまったというのがさっきの簡単な絵ですが、そこに行き着くわけです。全く絵としてはズレてないというか、この通りなんです。表面のすごいグロス、鏡面の仕上げもここで実現させているんです。グロスも難しい。ピカピカにするのはすごく難しい。(塗料が)溜ってしまったりするんです。エッジがだれてしまったりする。だから、すごい技術が詰まっていることは間違いないんですけど、それを声高に言わずに、みなさんはファンだから言いますけど(笑)、エンジニアはヒーヒー言いながらもさらっとうまくやってくれている。今回のINFOBARは、新しいケータイ、「新ケータイ」と言っているんですけど、テクノロジーとしても今まで求めていたことがやっとここまで来たかということをやっていて、単にいいデザインというだけではないんです。

砂原:この段階と量産とでは若干曲面が違いますよね?

深澤:この時の方が曲率が少ないんです。それはやっぱり厚みとかいろいろな部品の関係とかあったりしてそれで曲率を変えています。

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量産形状確認のためのプロトタイプ
Final Size Check Model for Production
2018

砂原:この後、中身の検討を詰めて行って、これはディスプレイとか中身を収めた時の最終形状の確認モックです。

深澤:そうですね。関係者と一緒に盛り上がりながら仕事をやらなくてはいけないんですよね。だから、途中の段階でどうなるかわかんないなとみんなが思っていて、結論をデザイナーだけが握っているというわけじゃなくて、まずはキーも何にもなく黒い塊でも「おっ、いいじゃんいいじゃん!」「いけそうじゃん!」「かわいいじゃん!」みたいな感じになってくると、エンジニアも「いいじゃんいいじゃん!」に乗って来るから、盛り上がって進むんですよ(笑)。それがないと「難しいな」とかそういう意見が出て来てしまって結局停滞するんですよ。今回はみなさんも参加していただいていると思いますけど、参加型のプロジェクトなので、ユーザーもそれに乗っかってきてるので、「いいじゃんいいじゃん!」がないといけないというところで、この真っ黒の塊自体もクラウドファンディングで出したんですよね。ここにもらった方もいらっしゃると思うんですけど。。。

砂原:そうなんです。この塊がとってもかっこよかったので、クラウドファンディングのリターン品にしてしまいました(笑)

深澤:かっこいい位牌みたいですけど(笑)

会場:(笑)

砂原:僕が死んだ時の位牌にしてもらおう(笑)本当にこのかたちだけでかっこよかったんで、久しぶりにモノのかたちだけで感動しました。

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INFOBAR xv デザインモックアップ
Final Design Mock-up
2018

砂原:黒い塊にディテールが付いたのがこのデザインモックですね。ファンミーティングの時に、このモックアップは80万円くらいするんですよとみなさんに伝えたら驚かれたんですけど、デザインモックは量産品に見かけは近いんですが、一個一個手作りなんでとても高いんです。このかたちをベースに今、量産のためのプロセスを進めています。

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卓上ホルダ
Charging Stand

砂原:続いて卓上ホルダですが、これ不思議なかたちですよね。開発中は「象さん」って呼んでましたが。

会場:(笑)

砂原:このかたちはどうして生まれたんですか?

深澤:INFOBAR xvをどっしりと入れるようなものよりも、これが浮いている台がいいなと思って。そうは言っても中身が必要なのでフラットな天板に棒が付いたところにカチッと嵌ればいいなと思ったんだけど、重りがないと倒れてしまうということで円錐のかたちにしました。縦から横にする時に、すごいクリック感がいいんです。自分もその技術にびっくりして自分で遊んでましたけど(笑)。時計が出てくれるので結構嬉しいんですよね。自分の枕元にあって時計が見えていいなと。だから携帯するモノだけでないという。「そこにいるもの」という風になってくると、これも新しいロボティックのテクノロジーの一つになっていくのかなと。そういう予感も先の「必然」の表れです。

砂原:そうですね。深澤さんはINFOBARは「持つ」でなく「いる」、INFOBARは「いる」だとおっしゃってますよね。

深澤:そうです、存在自体。存在自体を愛していると思うんですよね。買っていただく方は、その存在を好きになっていく。

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INFOBAR xvのかたちをしたSIM取り出しピン
INFOBAR xv Shaped SIM Card Eject Pin

砂原:これはSIM取り出しピンですけど、INFOBAR xvのかたちをしています。IT系の記者さんにすごい評判で、売ってくれと言われたんですけど。

会場:(笑)

深澤:今回のいろいろなペリフェラル、付属品などは砂原さん達チームががんがん作っていて、SIM取り出しピンもINFOBAR型にするとは思ってなくて(笑)

会場:(笑)

深澤:「そこまでやるか」って僕は隣で言っていたんですけど(笑)

会場:(笑)

砂原:レーザー刻印でINFOBARと彫ってあるんですけど、老眼だと見えないので「老眼チェッカー」にもなるという(笑)。

会場:(笑)

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INFOBAR xv個装箱
INFOBAR xv Package

砂原:これがパッケージですが、先の卓上ホルダを同梱するがゆえにこんな大きくなってしまいました。

会場:(笑)

砂原:最近こんな大きいの見たことないですよね(笑)昔はこれくらいの大きさだったと思うんですけど。これも深澤さんにデザインしていただきました。

深澤:フレームレスにしたということがパッケージのアイデアに必然的に繋がるんですよね。上と下ではっきりと分かれていて、その黒がそのままパッケージになるということ。もしここに赤いフレームがあったらそうならないんですよね。面白いのは、最初にしっかりとしたアイコンができると、自動的にいろいろデザインが進んでいくんですよね。無理をしなくても、カタログもそういうグラフィックになるしということで、全部繋がっている。

砂原:そうなんですよね、必然的に生まれて来るので、僕も途中、深澤さんのアイデアをベースにいろいろ作り始めました(笑)

会場:(笑)

砂原:さて、会場の奥に進むと初代INFOBARのコーナーがあります。

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砂原:手前には佐藤可士和さんによる当時のINFOBARのTVCMが流れています。奥には「INFOBARの原型」ということで、レゴによるプロトタイプなどが展示されています。

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INFOBARの原型
Archetype of INFOBAR

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深澤直人氏によるレゴ®で出来た最初のプロトタイプ
First Prototype Made with LEGO® by Naoto Fukasawa
2001

砂原:このレゴは、深澤さんの娘さんが当時使っていたものなんですが、それをそのまま保管していたものです。

深澤:二種類のレゴの左側は今のニシキゴイの雰囲気を漂わせていますが、今見ると右側の黄色と赤のどぎついのが新鮮だなと思います。次のINFOBARはこういう色で(笑)

会場:(笑)

深澤:ちょっとなんかいい感じしません?ちょっとアバンギャルド。娘は今はもう大人になっちゃいましたけど、当時はまだレゴを使ってるぐらいの子供だったから、おもちゃ箱から盗んで使ってたこと知らない(笑)

会場:(笑)

砂原:そのまま僕が15年間持ってました。知らないおじさんが持っていたという。

会場:(笑)

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info.barコンセプト info.bar Concept
2001-2002
INFOBARのプロトタイプであるinfo.barは、表は携帯電話、裏はPDAという二面性を備えた バータイプの電子機器として構想された。フレームレスキーはINFOBAR xvで実現。
The prototype of INFOBAR, the info.bar, has a dual side, a mobile phone and a PDA(Personal Digital Assistant)in the back. A frameless keyboard was realized with the INFOBAR xv.

砂原:これがレンダリングですね。最初のプロトタイプは小文字で「info.bar」と表記していました。当時はNなんとかとかPなんとかとか英数字の型番が多かったんですが、そうでない愛着の湧く名前をつけようと考えまして深澤さんに名前をお願いしたんです。確か深澤さんが出張の時に飛行機の中で考えてくださったんだと記憶していますが、最初は「インフォバー」か「情報バー」かどちらかでという話でしたよね。

深澤:「バータイプ」というのが自分の頭にありまして、「バー」は付けようと思っていたんです。僕は30代はアメリカで過ごしていたんですが、「バー」というのは「棒」という意味だけではなくて、いろいろな意味で使われるんです。今のスマホも「バー」なんですよ。「チョコバー」とか「パワーバー」、「エナジーバー」ですよね。アメリカには「パワーバー」というのがあって、ムキムキになるやつなんですけど。今考えてみれば、今の「パワー」という意味はこういう(スマホのような)パワーだから「パワーバー」という名前でもいいかもしれない(笑)パッケージも作りました。

砂原:「チョコバー」のようなオレンジのパッケージですね。

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砂原:さきほどのレンダリングにも描かれていたんですけど、裏側が実はPDAでした。今のスマホの原型を当時想定していた。

深澤:スマートフォンが出る前にPDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)というのがアメリカで出たんですね。Pilotという会社がスタートアップで考えたすごく簡単な操作でボタンがほとんどないPDAがあって、それが3Comという会社に買収されてだんだん大きくなって、今のスマホの原型になったんですよ。 携帯電話というよりはPDAがこの先来ると思って裏側に提案しました。

砂原:僕も当時PDAが好きで使っていたんですが、90年代後半はどちらかというとPDAが電話になっていくというように予想していました。ただ見事にその予想は外れて違う社会が来たんだなと思ったんですが、結局スマホになった。

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info.bar conceptリーフレット
info.bar Concept Leaf let
2002

砂原:これは、info.barのリーフレットですね。そして次に出て来る画像が、今回の展覧会の準備中に発掘して久しぶりに公開したものです。

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info.bar conceptユーザー体験イメージ
Example for the info.bar User Experience Concept
2002

砂原:これは当時、深澤さんのところで撮っていただいたものです。2001年5月のビジネスショウTOKYOでinfo.barを発表した時に展示ブースで使った利用イメージの写真です。当時のポジフィルムを見つけて、デジタルじゃなくて(笑)それをスキャニングして出力し今回展示しました。

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ファッションアイテムとしてのinfo.bar
info.bar as a fashion item.

砂原:これが「ファッションとしての価値を持つ携帯電話」というコンセプトを表現した写真です。この透明のバッグは今年の夏も流行っていましたね。17年前も流行ってたんですね。

深澤:装身具としてのデジタル機器というのは何十年もの間ずっと時計しかなかった。それが初めて新たなこういうマシンができたということで、時計も装身具だからファッションに寄って行ったようにケータイも絶対そっちに行く可能性があるのではないかと。それを一早く取り入れたということがありましたね。

砂原:そうですね。そして本当はキーもカスタマイズできる想定だったんですよね。

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大画面&Bluetoothヘッドセットで動画視聴
Watching video with large info.bar’s display & Bluetooth headset.

砂原:これがちょっと感動的な写真です。耳元にあるのがBluetoothヘッドセットのコンセプトなんです。今は当たり前のようにみなさん使っていますけど、当時はまだ存在しなかったんです。

深澤:アンテナが下向きに付いてますけど、それをイヤリングみたいな感じにしようと作ったんです。

砂原:そして大画面で動画を楽しんだり音楽を聴いているイメージなんですが、当時まだ3Gサービスが始まる前でこれから動画が来るみたいな時代。今では動画は当たり前のようになっていますが、17年前にはまだ出来ていなかった。それとこの時の想定としては、前側にカメラが付いているので、裏側をファインダーに使ってAR(拡張現実)を実現することも考えてました。これで覗くと街中でお店の情報がポッと出て来てみたいな話もしていたんです。

深澤:そうそう。ちょうど目の前にある四角みたいなイメージをしていました。

砂原:そうなんですよね。INFOBARは高さが138mmなんですが、ちょうど顔の幅くらいなんですね。だから顔の前にやるとARになるという。続いては、初代INFOBARの開発にまつわる展示になります。

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初代INFOBARの開発
Development of INFOBAR 1st Generation

砂原:コンセプトモデルのinfo.barをベースに、今は無くなってしまったんですが鳥取三洋さんというメーカーと初代INFOBARの開発をスタートしました。

深澤:最初のキックオフミーティングの日に、実は鳥取に行く飛行機に乗り遅れて遅刻したんです。

会場:(笑)

深澤:次の便が夕方だというんで、大阪まで飛行機で行ってそこから電車でこぎつけたらやっぱり夕方ぐらいになっちゃった(笑)

会場:(笑)

深澤:全員待っててくれたんですよ。

砂原:そうなんです。深澤さんをみんなで拍手で迎えました(笑)

会場:(笑)

深澤:それでINFOBAR発足式みたいな。

砂原:本当は日帰りで帰る予定だったんですけど、深澤さんが遅刻されたんで泊まることになって、おかげさまで夜は美味しいお酒をいただけました(笑)

会場:(笑)

深澤:カニ食べて帰りましたね(笑)

会場:(笑)

砂原:翌日は鳥取砂丘に行った気がします(笑)

会場:(笑)

砂原:深澤さんは今は忙しいからなかなか難しいですけど、昔は鳥取まで来て打ち合わせできたんですよね。

深澤:みんなモチベーションが上がってましたよね。エンジニアのみなさんもすごかったですね、「ノー」って言えないんですよね。やっぱりみんな盛り上がっちゃっているんで、エンジニアも絶対やらなくてはいけない気になっているし。au、KDDIはキャリアなので、メーカーとしてはキャリア側のデザイナーに要求されたことは絶対にやらなくてはいけないとなるんですけど、僕がもし鳥取三洋のデザイナーだったら「お前何考えてんだ」と言われて「こんなものできるわけないじゃん」みたいな感じになるんだけど(笑)

会場:(笑)

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かたちと色のスタディ
Shape & Color Study
2003
十字キー形状検討時の資料
The control key shape study

砂原:これは十字キーの最初のデザインとして深澤さんから提示されたものです。これは、センターキーが成立しないので途中で無くなってしまった案なんですが、このデザインがかわいくて好きで取っておいたんです。

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かたちと色のスタディ
Shape & Color Study
2003
カラー検討用モックアップ
The mock-ups for color variations study

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砂原:これは今回初公開なんですが、初代INFOBARの量産検討時のカラー検討スタディで、上側の3色がNISHIKIGOI(ニシキゴイ)やICHIMATSU(イチマツ)など商品化されたカラーと同時に検討していたものです。下側の3色は、後に追加されたANNIN(アンニン)と同時に検討していたカラーですね。

深澤:ニシキゴイとかイチマツというのは、呼び名が無いんでみんなが勝手にこれはニシキゴイ、これはイチマツみたいに自動的に決まっていったんですよ。それが発売する時に「その名前でいくか!」みたいなノリになって。それでニシキゴイが爆発的人気になってしまって。

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砂原:これは、2003年5月27日に僕が撮った写真です。これも今回発掘したんですけど、上の3色が商品化されて下は候補から落ちてしまったカラーです。

深澤:今見てもいい色ですね。

砂原:下の段の一番右の緑は、深澤さんも僕らもいいんじゃないかと最初話をしていた色なんです。

深澤:この緑、今出たら結構いいと思いません?ニシキゴイがまさか一番になるとは思ってなかった。さすがにそこまでは必然的に読んでなかった(笑)

会場:(笑)

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NISHIKIGOI誕生
NISHIKIGOI Creation
2003
INFOBARを象徴するカラー、ニシキゴイ。開発当初の配色は、上段資料のとおり、5色で構成されていたが、量産性の観点から現在の3色に。
NISHIKIGOI(varicolored carp fish) color is the INFOBAR’s characteristic and symbolic color combination.The original color combination was five colors but during the mass production development process, the final number became three.

砂原:これは、当時たくさんのカラー案を深澤さんからいただいたうちの1枚で、ニシキゴイの元になった色ですね。ニシキゴイは3色の組み合わせからなる配色ですが、この時は5色の組み合わせだったんですね。

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砂原:モックアップも最初はキーを5色の組み合わせで作っていたんです。結局、量産性が無かったために今のニシキゴイの3色になりました。この左上の2003年2月14日の日付になっている写真は、初めてINFOBARのモックアップが出来た時に、深澤さんの昔のオフィスで撮影したものです。

深澤:そうですね。自分で図面を引いてました。

砂原:INFOBARは深澤さんが自分で図面を引いた最後のプロダクトなんですよね。

深澤:今は優秀なアシスタントがいて、CADもあるし、全部それでやるんですけど。

砂原:この機種までが、図面のやりとりなんかもFAXでやってましたよね。メールはあったんですけど、FAXでやっていたので、紙の資料がいっぱい残ってる。

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砂原:これもかっこいい。

深澤:過激ですね。アンテナがやっぱりその時に論議になって、トランシーバーみたいにバータイプにアンテナがあることがちょっとかっこよかったんです。片手が塞がってるとアンテナをこうやって歯で噛んで出すという(笑) 会場:(笑)

深澤:その仕草がいいなと思ってアンテナを結構強調して作ったんですよ。

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砂原:これはニシキゴイの色指示書です。それも残っていたので展示しました。

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初代INFOBARワールド
INFOBAR 1st Generation World

砂原:こうして初代INFOBARが発売されるわけですが、その広告宣伝、セールスプロモーションのために様々なクリエイティブが生まれたんです。

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初代INFOBAR
INFOBAR 1st Generation
今からちょうど15年前の2003年10月31日に発売。 東京の街はINFOBARの印象的なグラフィックで彩られた。
On October 31, 2003, 15 years ago the INFOBAR was released. Tokyo city was colored with the INFOBAR’s symbolic graphics colors.

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INFOBAR屋外広告
INFOBAR Outdoor Advertisement
2003
左:INFOBAR発売初日(2003年10月31日)渋谷スクランブル交差点にて
右:2003年11月 表参道にて(左は建設中の表参道ヒルズ)
Left: INFOBAR launching day(October 31, 2003) in front of the pedestrian crossing in Shibuya.
Right: November 2003 at Omotesando (Omodesando Hills under construction on the left).
Photo: Satoshi Sunahara

砂原:2003年10月31日が初代INFOBARの発売日で、左側の写真がその日の渋谷駅前です。

深澤:ちょうどハチ公の向こう側ですよ。自分のやったデザインがビルボードになるというのは、今でこそiPhoneとか出ていますけど、電子機器がビルボードになるというのは信じられないことで、結構感動して涙ぐみましたよ(笑)

会場:(笑)

砂原:10月31日は今だとハロウィンで渋谷は大変なことになってるんですけど、この時は全くそんな気配もなくて誰も仮装してません。

会場:(笑)

深澤:びっくりしたと思いますよ、社会は。INFOBARという携帯電話がビルボードになってるということ自体が強烈なインパクトでした。

砂原:右側が表参道ですね。左手に写っているのは工事中の表参道ヒルズなんです。

深澤:表参道をジャックしたんですよね。

砂原:そうなんです。表参道のこの通りを企業が使うのはこれが始めてだったんです。

深澤:そうですよ、この2つの旗は国民の休日の時に日の丸になるところですもんね。

砂原:深澤さんの事務所はここから近かったですよね。

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INFOBARリーフレット
INFOBAR leaflet
2003
Creative Director: Hiroshi Sasaki
Art Director: Kashiwa Sato

砂原:あと、佐藤可士和さんがこういうフライヤー的な普通のパンフレットとは違ったものを作ってくれました。

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INFOBARポスター
INFOBAR poster
2003
Creative Director: Hiroshi Sasaki
Art Director: Kashiwa Sato

砂原:これはポスターですね。

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INFOBAR個装箱/ショッパー
INFOBAR package / paper bag

砂原:パッケージはこんな感じでした。

深澤:この時もスムーズに進んでいきましたよね。

砂原:そうですね。佐藤可士和さんのプレゼンも感動しました。一発OKでみんな拍手でした。深澤さんの事務所に最初お越しになって。佐々木宏さんと。

深澤:そうそう。佐々木さんというプロデューサーがいて「佐藤可士和さんというデザイナーがいるんですけど一緒にやってくれますか」って言うので「いいですね、やりましょう」と言って、それで彼と会って。その時にはもう決まっていて、それであんまり時間ない間にこれが出来上がってきたんです。

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BEAMSとのコラボレーション INFOBAR Tシャツ/冊子
INFOBAR T-SHIRTS / Brochure Collaborated with BEAMS

砂原:これはBEAMSとコラボしたTシャツ。当時は裏原の時代だったんで。

会場:(笑)

深澤:こんなの僕知らないよ(笑)

会場:(笑)

砂原:知らないですよね(笑)これはBEAMSのクリエイティブディレクターだった梶原義景さんに作ってもらって。そんなにたくさん作っていないのでこれしか残ってないんです。当時はソニーとBEAMSがコラボしたり、そんな時代でした。

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INFOBAR予約カード
INFOBAR pre-order card

砂原:これも深澤さん知らないと思いますが(笑)これはINFOBARの予約カードになっているんですが、アド・カードといってよくカフェなんかに置いてあったんですよね。これの面白いところは、当時のデザインブームを感じさせるデザインで、ミッドセンチュリーの椅子が使われていますね。

深澤:ヤコブセンですね。椅子の上に置いてありますね。

砂原:そうなんです。アルネ・ヤコブセンのスワンチェアの上にINFOBARが乗ってたり、イームズのシェルチェアが使われてたりします。

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INFOBARストラップ
INFOBAR strap

砂原:これは当時、auの支社が独自に作ってた販促グッズのストラップです。僕の知らないところで作ってくれていたもので、みんな勝手に盛り上がってくれていたので嬉しかったですね。

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INFOBARクッキー
INFOBAR cookie

砂原:これは、当時まだ請求書が郵送されていてそこに同封されていた冊子ですね。これはINFOBARクッキーということで中にはレシピも載ってます。

深澤:au Style(笑)

砂原:社内でも、自分の結婚式でINFOBARのケーキを作られる方もいたりして(笑)

会場:(笑)

深澤:INFOBARのケーキ、自分の還暦の祝いに会社のメンバーが作ってくれました、虎屋で(笑)和菓子の虎屋で羊羹作ってくれました。開けたらINFOBAR羊羹だった。

会場:へえー

砂原:すごいですよね。写真見せていただいたんですけど、ほんと素敵でした。

深澤:齢がバレますね(笑)

会場:(笑)

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INFOBARマッチ&カード
INFOBAR matches & card
期間限定で六本木に登場したバーラウンジ「INFOBAR」で配布されたもの。
Items were for limited period event, bar lounge“INFOBAR”in Roppongi.

砂原:あと、これ、ちょっとなんだかわからないと思うんですけど、バーだけにINFOBARという名前のラウンジバーが当時期間限定で六本木にオープンして、その時のマッチとカードなんです。

深澤:すごい、こんなことまでやってたんだ(笑)

会場:(笑)

深澤:これも覚えてないなあ。

砂原:これも支社が勝手に企画してくれたんです。カクテルもニシキゴイのカクテルとかイチマツのカクテルとか出してたんですよ。マッチなんて、今どこも禁煙なんでなかなか見なくなりましたよね。

深澤:全然au KDDIと違うメーカーが、僕がやった製品だということでPOPにINFOBARを使ってたことがありましたよ。「それ使っちゃいけないんじゃないですか」って(笑)

会場:(笑)

深澤:全然関係ないプロダクトなんだけどINFOBARが置いてあるわけ(笑) 会場:(笑)

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INFOBAR(ANNIN)パンフレット
INFOBAR(ANNIN)brochure

砂原:これはANNINが後から出た時のカタログですね。

深澤:ANNINを持って僕の今の会社を受けに来た女性がいるんですけど。それしか持ってこないで。工業デザインというものをよく知らなかったと。こういうものをデザインする、考え出す仕事があるんだということを初めて知って。自分が持っていたものがそういうことがあるんだといって調べて。「訪ねて来てはいけません」とうちのウェブには書いてあるんだけど、全然関係なく訪ねて来て。

会場:(笑)

今、その人、一番優秀なデザイナーです(笑)

会場:(笑)

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INFOBARカプセルトイ
INFOBAR capsule toy

砂原:これはガチャガチャ、カプセルトイですね。

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INFOBARケース
INFOBAR case

砂原:これはキャリングケースですね。伊勢丹の外商で作ってもらったものです。

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砂原:この後のパートですが、これは深澤さんがインタビューでおっしゃっていた言葉ですが「コミュニティを作っていくカルチャーとしてのデザイン」ということでお話進めていきたいと思います。

深澤:そうですね。今回はまさにコミュニティが出来上がってきている状態で、クラウドファンディングも含めて、INFOBARということを共有してくれる人たちが集まって一つのコミュニティができてる。今日はそのオフ会ですけど(笑)

会場:(笑)

深澤:そういう感じのことをプラットプラットフォームというと思うんですけども。なんか参加したいというのは同調の意味なんです。それがはっきりと見えるようになってきたというのは、すごいことだなと思います。

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砂原:これは「名前を刻もう」ということで支援いただいた1,067名の方のお名前をエンドロールのようにモニターに映し出しているところです。

深澤:自分のケータイにメンバーの名前が出るというのはすごいですよね。

砂原:映画のエンドロールとか、映画の世界では結構当たり前のことですけど、関係者の名前が全て出てきますよね。僕は若いころ映像制作の仕事してたんで、映画のエンドロールにいつか出たいと思ってました(笑)

深澤:試写会でエンドロールが出ると関係した人は拍手する。アメリカにいた時に、自分のいた会社が参加していて、エンドロールに出た瞬間にみんな立ち上がってすごく盛り上がってたんですよ。

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砂原:映画のエンドロールのシステムはいいなと思っていて。関係者全て隅から隅まで最後に紹介されるんですけど、プロダクトも映画みたいにたくさんの人が関わっているのでエンドロールみたいなことができたらとずっと思っていたんですけど、今回実現できてよかったなと。支援者のみなさんに加えて、今回、KDDI社内や京セラのみなさんなど関係者の人も名前が出て来るんですけど、僕も知らない人も結構いて、最終的には関係者だけでも200名ぐらいクレジットされています。

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INFOBAR xvピンズ(クラウドファンディング版)
INFOBAR xv Pins(crowdfunding edition)

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INFOBAR xv専用ケース
INFOBAR xv Case

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クラウドファンディング限定で製作されたINFOBAR xvオブジェ
INFOBAR xv Object Exclusively Made for Crowdfunding Supporters

砂原:これはクラウドファンディングのリターンの一つだったオブジェですね。なんの機能もなくて文鎮とか言われてますけど(笑)

会場:(笑)

深澤:でも、そういうものですよね。今、21_21でやっている「民藝展」もそんなもんですよ(笑)「これはなんだろう?」みたいな感じなんだけどやっぱり愛着があるみたいなモノというのは人間にとって必要なモノなんで。あんまり意味を深く考えすぎても仕方がない。

砂原:そうですよね。かたちが良ければ。みなさん、「民藝展」は行かれましたか?

深澤:「民藝展」はお薦めですよ。

会場:(笑)

深澤:めったに見られないものがありますから。

砂原:深澤さんは「インフォバーデザイナー」ですけど、民藝館の館長ですから(笑)

深澤:すごいとんでもないキャプションを入れてますから。全部僕の話言葉で。

砂原:それがすごく面白い。民藝館で見るより全然面白いです(笑)

深澤:「Another Kind of Art」という展覧会名にしたんですけどね、「民藝」という凝り固まった言葉でなくて、もっとそれを解き放そうという感じで。ちょっと脱線しますけど、僕らが民藝見るとすごいびっくりするんですよ、その考え方とか作り方の過激さに。それで「ヤバいよね」という感じが聞こえてきて、タイトルを最初「ヤバいぞ民藝」にしたんですよ。それはさすがに通らなくて(笑)

会場:(笑)

それは民藝館に怒られそうで(笑)怒られるといっても自分が館長なんですけど(笑)

会場:(笑)

深澤:そういうわけにもいかず、公共のものなのでそれは控えましたが。一応、説明の中には「民藝ヤバいよね」というのは入っている。

砂原:入ってましたね。深澤さんのコレクションも飾られていて非常に面白いので是非。

砂原:こんな感じでクラウドファンディングも実施して、みなさんのお名前も入れさせていただきました。先の深澤さんのプラットフォームの話ですとか、ただのプロダクトでないことを今回実現できたのかなと思います。

深澤:そうですね。なんなんでしょう。プラットフォームという概念は面白いですよね。

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砂原:これが画面ですね。支援いただいた方いらっしゃいますか?

会場:(挙手)

砂原:すごいたくさんいらっしゃいますね。

深澤:さすがです。プラットフォームに参加する、乗っかる喜びというのはどういうことなんでしょうね。

砂原:そうですよね、嬉しいですものね。自分の名前が出るのとか。

深澤:中国のプラットフォーマーって、例えば独身の日とかに一斉に買い物するじゃないですか。あれってアイテムを買い物するということでなくて、参加することで高揚するという一つの新しい概念ですよね。だから自分が作った製品ではないんだけど、自分もそれに参加するというのが喜びになるというのは面白いですよね。

砂原:面白いですね。

深澤:みんなで作っているという感じ。

砂原:そうなんです。今回のINFOBARは通常よりだいぶ早く7月に発表したんです。早く発表して、みなさんと一緒に開発を進めていきたいという気持ちがあってクラウドファンディングを実施したんですよね。最終的には3,539名の方にご支援いただきました。

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砂原:こんな感じで深澤さんの名前も出て来ます。これは隠しコマンドを打つと出て来るんです。ここで言えないですけど(笑)

会場:(笑)

砂原:ということで、展覧会はこのような展示内容になっております。もしまだご覧になっていない方は、今日の解説を思い浮かべながらご覧になっていただければと思います。

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砂原:最後に一つお知らせです。パリの装飾美術館で11月15日から「ジャポニスムの150年展」が開催されまして、そこにINFOBAR xvのモックアップも出品されることになりました。あと、SIMピンも展示されます、SIMピンがパリに渡るという(笑)

会場:(笑)

深澤:パリの装飾美術館にSIMピン(笑)デュシャンの世界だ(笑)

会場:(笑)

砂原:ということでジャポニスム150年の系譜に連なる一番最新の商品としてINFOBAR xvが展示されます。もしパリに行かれることがあれば是非。

会場:(笑)

砂原:僕が行きたいですけど(笑)ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館にも常設でINFOBARが展示されているんですけど、たまたま訪れた日本人の方が驚かれてインスタなどにアップしてくれたりするんですよね。

深澤:そうですね。ニューヨークのMoMAの永久保存にもなっています。

砂原:はい、とうことでトークはここで一旦閉めたいと思います。ここから続いて質問コーナーに移りたいと思います。



【質問コーナー】



参加者様A:今回のINFOBARは、背面のところがつるんとしていなくて角があって、あれっ?と思ったんですけど、これはなぜなんでしょうか?

深澤:INFOBAR 2の時は角を取ってしまってつるんとしたんですけど、今回は先ほど言ったようにレンズをカットしたような感じというのが基本的な概念なので、そこをつるっとしてしまうとかたちが崩れてしまうんです。ちょっと難しいかたちになってしまう。それで、そこのところは割り切ったんです。
もう一つ、これは専門的になるんですけど、デザインは角の処理がそのデザインを決めているところがあって、この角の処理の硬さをどうするかということをすごく慎重に考えないといけないんです。この角は0.5mmくらいだと思うんですけど、僕は時計のデザイナーなんですが、時計だと許される日本の基準というのは0.3mmなんです。それ以上シャープになると怪我してしまうから。それを打ち破ってやったのがAppleで、Appleは0mm。工業製品として限りなくゼロ、寸法がないという。

砂原:(MacBook Airのエッジを見せながら)こんな感じですね。

深澤:そうですね。隅と縁がそのものの価値を決めているようなところがあって、それが全てのデザインのディテールなんです。だから、この角Rをいくつにするかということが一番悩むところです。悩むというか、そこに気を込める。今回はこれでいくぞという感じで決めるところです(笑)
でも言ったとおりにピン角ではできないので、技術的にはすごく大変です。大体、どうしても型でできてしまう角が0.02mm、20ミクロンくらいになるんですよ。だからRがない、(完全に)エッジだという世界はないんですけど。Rは塗装だと必ず出てしまう。これで質問の答えになっていますでしょうか。

会場:(笑)



参加者様B:ニシキゴイを予約しているんですけども赤が好きなので。私自身は魚の鯉は苦手なので(笑)

会場:(笑)

参加者様B:ニシキゴイってこれかって最初買うの悩んでいたんですけど、深澤さんは何をイメージしてニシキゴイの配色を考えられたのか教えていただけますか?

深澤:ニシキゴイという名前になったのは、こういうパターンが出来上がった後の話なので。よくよく見るとニシキゴイの色はしていないんですけど(笑)

会場:(笑)

深澤:言ってしまうとみんな「そうか」と思う。民藝展でもそうなんですけど、予測できないパターンというのがあって、それがたまたまこのニシキゴイのパターンになったように記憶しています。紫っぽい水色がくすんだような色とベージュを合わせることは僕らの世界では全然やらないんですけど、偶然にパターンを追っかけていたらできて「これ面白いね」という感じだったんです。これが出てしまったもんだから、次の開発大変でしたよね。次はどの色にするかという。

砂原:そうですよね。ニシキゴイ、途中で止めよう話があったんですけど(笑)

会場:(笑)

深澤:なんでニシキゴイという名前になったこのパターンが一番売れてるかっていうことが未だに解析できないんですよ(笑)

会場:(笑)

深澤:でもニシキゴイ出さないと怒られちゃうから(笑)

会場:(笑)

深澤:この15年間無くなることがなかったんですよ。必ず毎回一番売れるから(笑)

砂原:今回はニシキゴイやめようと言うと社内でもいろんなところから反対される(笑)

会場:(笑)

砂原:本物のニシキゴイって水色はついてないですけど、なんとなくこういうイメージですよね。



参加者様C:ニシキゴイだけは必ず残しているのに他の色は復活しないんですか?イチマツ復活してほしいとかいろいろな意見が出ていますが、なぜニシキゴイだけなんですか?

会場:(笑)

参加者様C:あとニシキゴイは必ず出るだろうなという期待はあるんですが、逆にニシキゴイじゃないもっとすごいメインカラーを出してくれるんじゃないかなという期待も少しあるんです。そこについて教えてください。

会場:(笑)

深澤:できません(笑)

会場:(笑)

深澤:というか、もう波に乗っちゃったみたいな感じがするんです。INFOBARといえばニシキゴイになってしまっているので。それはなかなかはずせないんじゃないでしょうか。

砂原:それはなかなか難しいですよね(笑)

深澤:ファンクラブが許さない(笑)

会場:(笑)

砂原:あとそうすると2色しかないんで(笑)

会場:(笑)

深澤:あと2色が妙に保守的に見えるんですが、今回出したチェリーベリーという色ですけど、ちょっと前まではみんな「おばさん色」って言ってた色です。

会場:(笑)

深澤:とんでもない色してるんですよね。工業製品では使わない色です。僕にとってかなり過激なチャレンジですけど、なぜこの色を使ったかと言うと、まずファッションの中で、例えばバッグとか女性のネイルの色とかそういうところにかつてのおばさんの毛糸のパンツ色が出て来る。

会場:(笑)

深澤:そこは紙一重なんですけど。このネイルでチェリーベリー持ったらすごい。きますよ。ガツっときます。

参加者様D:紫ってすごく出ますよね。藤色とかってすごい出るんですよね。私、販売員やっているんですけど。紫はどの年齢の方でも一回は触れるんですよ。それなので出たのかなと思ったんですよね。

深澤:そうですね。この感じは結構ファッションで、きてると思うんで。すごいチャレンジですよ。全然保守的じゃない。 砂原:本当にこの色、よく通ったなと。プロダクトとしては難しい色で。紫といってもちょっとアンニュイな色なのでなかなかおじさんとかは理解できなさそう。

会場:(笑)

砂原:最初はチェリーベリーという可愛い名前でなくて「桜餅」って呼んでましたよね。

会場:(笑)

深澤:いい色作ったなあ。自分を褒めてあげたい。

会場:(笑)

砂原:あと、INFOBAR 2のミドリが大好きってみなさんおっしゃるので、ミドリ出してって言われるんですけど。

深澤:熱烈なミドリファンの方がいらっしゃるんですよね。いつもこういうオフ会に必ずいらっしゃる。

砂原:INFOBAR 2のミドリを使われていた方いらっしゃいますか?

参加者様E:(挙手)

砂原:いらっしゃいますね!

深澤:ミドリはすごい重要ですよ。なぜかというとINFOBAR 2の他の色に対してそれだけ型が違うんです。

砂原:そう金型が違う。

深澤:金型にシボかけてるんで、金型変えてるんです。普通そんなことしないですよね。

砂原:異常なことです。一番コストかかってる。

会場:(笑)

深澤:ちょっとザラっとしてる。

参加者様E:メインはこれです。

深澤:それですか。

砂原:ウォームグレーですね。

深澤:僕は結構気に入っていた色です。コーヒーにミルク入れすぎた時の色です。

会場:(笑)

砂原:今回は単色はやらないと決めて。3色展開と決めてたんで。4色、5色展開であれば単色があってもいいんですけど。

深澤:僕は保守的なんでこれ(ナスコン)が好きなんですけど。(胸ポケットのナスコンのポケットチーフと)今日も合ってる。

会場:おーっ。

砂原:名前の話しなかったですけど、ナスコンという名前です。

深澤:茄子の紺色ってなんかよさそうじゃないですか。三宅一生さんから聞いた名前なんですけど。HOMME PLISSÉ(オム・プリッセ)というPLEATS PLEASE(プリーツ・プリーズ)の男性版の中で使ってるメインカラーなんですけど。「そうですか!いい名前ですね!」って。茄子の漬物の色です。

会場:(笑)

砂原:本当は茄子はもっと赤いですよね。これは漬物の茄子。釘入れて青くなったやつ。

会場:(笑)

砂原:茄子紺は大正時代に流行した色で、日本の伝統色の中にもある名前なんです。

深澤:市松(イチマツ)があってもよかったですけどね。

砂原:そうですね。でもこの茄子紺も市松に近い配色、桂離宮の市松みたい。

深澤:そうですね。



参加者様F:塗装をグロッシーにするのが大変だとおっしゃってましたけど、neonの時も結構苦労されたと。

深澤:よく知ってますね。

来場者F:どちらが大変でしたか?

深澤:こっちのほうが大変です。neonは角が丸いんです。角のRが特徴の四角なんです。あれは塗装が溜まらない、流れてくれるんで。INFOBAR xvの場合はエッジのところにわずかに塗料が溜まるんですね。エンジニアはすごくて、塗装した後に削りますか?という提案もあった。

砂原:最終的には削ることはしませんでしたけど。塗装が乗った時にちょうどフラットになるようにわずかな曲面を持たせた設計をしたりしていますよね。

深澤:漆工みたい、漆の職人みたいですよ。漆の職人というのは漆を炭で研ぐんです。本当の炭で平らにしていくんですけど、だれないようにするのがすごい大変で。neonのグロスもすごい綺麗ですよね。

砂原:neonの大変なところは、綺麗にLEDの光を浮かび上がらせるのに下地が黒で、黒地に白を塗るというところでしたね。

深澤:そうそう。それは結構すごいテクノロジーをやってるんです。結構やりましたよね。

砂原:綺麗に浮かび上がるように黒い樹脂に16セグの数字の穴を開けて、その上を白く塗っている。

深澤:白いところに赤い文字をneonの場合は出しているんですけど、白に赤って光が相当強くないと文字が見えてこないんです。それを文字が見えるように仕掛けるために、白の下に黒を引いてるんですよ。それで文字のところだけカットしてるんです。

砂原:とんでもないことやっていた。特許取りましたよね。

深澤:お互いに特許出したんです。

砂原:LEDのデバイスが2枚入っているのでそれだけで高かったんですけど。



参加者様G:グロッシーの塗装について続きで質問なんですけど、色の配色とかインターフェースを見たら、落ち着いた感じを今回出したいんだなというのがわかったんですが、それに対してマットなフィニッシュじゃなくてグロッシーにこだわった理由とかストーリーとかあればお聞かせいただけたら嬉しいです。

深澤:マットはマットで流行ってる。例えば自動車は常にハイグロスな塗装で、さらに単色のようだけど中にピグメントといってパールを入れたりして光らせたりしますよね。でも最近の車ではマットな車も出てきたりして、結構、おっ!と思いますよね。それはそれぞれに魅力があると思うので、色のトーンを下げたイコール表面仕上げのトーンをマットにして下げましょうということではなくて、ハイグロスな仕上げにちょっとトーンを落とした調子を持っていくのがおしゃれじゃないかと。さっき女性のネイルの話が出ましたけど。女性のネイルってマットあります?

来場者G:あります。

深澤:失礼しました。

会場:(笑)

深澤:そういう感じがあったんで。最初からハイグロスを考えていました。もっと細かく言いますと、車の塗装ってよくよく見るとゆず肌なんですよ。そんなにピカピカにできないんで。これは本当にハイグロス。顔を映してみると、あるいは光を映してみると、はっきりと光の輪郭が見えるようになるまでというのは相当なツヤを出さないといけない。

砂原:フルグロスでやると粗が全部見えるのでエンジニアはすごく嫌がりますよね。

深澤:逆に反射が多くなるので綺麗に出来上がってないとベロベロになっちゃう、とても安物になっちゃうんですよ。だからむしろマットにしてくださいという方が工業デザインとしては全然楽でエンジニアが喜んじゃいます。でもそれはしないんで。

会場:(笑)

深澤:ヒケもないんです。ヒケという凸凹がでちゃうことがあるんですけどそれもないんです。

砂原:ピカピカなので指紋がいっぱいつくんですけど、よく拭いてください。

会場:(笑)



参加者様H:今回、INFOBARはガラホという形で出ましたが、ガラケーとしては最終形態という形になると思うのですけど、スマホでも今までいくつか出されていて、僕の中ではC01がテンキーとスマホの融合という中ではベストな組み合わせなのかなと今でも思っているんですね。今後、テクノロジーの進化で無理だったことが可能になるということがあった場合に、スマホで果たしてINFOBARを表現することが今後ありうるのかというのはみなさん気になっていることではないかと思うんですが。言えるところまでで結構なので何かお話しいただけると嬉しいです。

会場:拍手

深澤:ああ、それは、、、がんばります!

会場:(笑)

深澤:考えているアイデアは、まだ砂原さんにも言ってないんですけど、あります!

会場:(笑)

深澤:そこに来たか!という手を打とうということは頭の中では考えています。そこでもう一回ワオと言わせたい。デジタル機器の進化というのはどう私たちを喜ばせてくれるかというところに移っていると思うので、すごい勢いで魅力が広がっていくんじゃないか、そういう時代が来るんじゃないか、もうスマホが終焉していくとかハイテクノロジーが当たり前化していくみたいなことを吹聴する場もあったりするんですけど、僕はまだ進むんじゃないかなと思っています。
進む以上は「INFOBARは不滅です!」

砂原:「不滅です!」

会場:(笑)

砂原:では「INFOBARは不滅です!」との素敵なお言葉を深澤さんにいただいたところで、本日のレクチャーを終わりたいと思います。ありがとうございました。

会場:(笑)(拍手)

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