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日本古来の色彩が持つ美しさを食材から引き出す
—CRAZY KITCHENが表現するパラレルワールド

時間や空間、コミュニケーション……食を取り巻くすべてをデザインする

——CRAZY KITCHENは、アートと食をかけあわせたオーダーメイドのケータリング事業に取り組んでいますが、大切にしている価値観を教えていただけないでしょうか。

土屋:私たちは「食時を、デザインする。」というコンセプトを掲げているのですが、目の前の食だけでなく、そこに付随する時間や空間、その中で発生するコミュニケーション……すべてに思いを込めたいと思っています。
ただ「オシャレ」とか「奇抜」とかだけでは、表層的なものになってしまう。伝えたい「本質的な価値」とは何なのかを突き詰めて、「それ」である必然性のあるもの、奥行きが感じられるものを選びとっていくことで、より多くの人に伝わるものになると考えています。

小泉:常日頃から「クリエイティブを生むようなクリエイティブをする」ことを心がけています。私たちが生み出す食の体験を通じて、その人にとって新たな感情が生まれたり、何か気づきを得たりするようなフィルターを提示できればいいなと考えています。

——クレイジーキッチンの作品を見て、またあらたな何かが生まれる。今回の取り組みのまさに本質だと思いますが、普段は、どんなところから発想を得ているのでしょうか。

土屋:私自身のこだわりとして、生活の中にこそ美しさが潜んでいると考えているので、普段はサングラスをかけないようにしています。この世界だからこそ存在しうる色彩を表現するため、歩くなかで感じられる気づきを作品に落としこんで、そこに命を吹き込みたいと考えています。

茄子紺の持つ、色の奥深さを味わってほしい

——INFOBARとの出会いはいつですか。

小泉:高校生のとき、初代INFOBARのICHIMATSUに一目惚れしちゃいました。「うわ、かっこいい!」って。親に頼み込んで機種変したのがちょうどデザイナーを志して美大を目指していた頃で、プロダクトデザイナーの深澤直人さんにも憧れていて、グッドデザイン賞の展示会へ足を運んだりしていました。
「みんなとは一味違うものを持つ」という決意が、自分にとってある種のアイデンティティになって、INFOBARがお守りみたいになっていた気がします。

——作品のどのあたりにINFOBAR xvが表現されているのでしょうか。

土屋:「茄子紺」というくらいなので、まさに食と縁のある色ではあるのですが、実は「青」ってあまり自然の食材には存在しません。青は食欲を抑制する色でもありますし、難しいといえば難しい。だからこそ、日本古来の色である茄子紺を踏襲しつつ、実際のナスが持つ美しさを視覚的に引き出すことで、奥深さをまとった作品ができるのではと思い、つくりました。

小泉:色はもちろんのこと、INFOBARで象徴的なモザイク柄。これを一から作ってしまうとウソっぽくなってしまうので、ありふれた食事の中でモチーフを探しました。

土屋:最初、「マンゴーみたいに格子状に切る」っていうアイデアもあったのですが、なかなかうまくいかなくて。

小泉:私たちは今回、「実際に食べられるもので表現する」という制約をかけました。「食」って、根源的なものであり、瞬間的な欲求です。普段、ケータリングで食事を届ける「食のプロ」として、そこは譲れないな、って。
だから、撮影する瞬間にいちばん美しい状態を保てるように、時間や温度を逆算して作り上げました。食べ物はすべて生ものであり、命ですからね。

——では、作品内のモザイク柄のナスも本物でしょうか。

土屋:はい、本物です。ナスだけでなく、すべて食べられます。それを実現できたのも、シェフの武本含め、このチームだからこそ実現できたことです。いまの私たちのベストを尽くせたなと思います。

心躍るような瞬間に、いまも突き動かされている

——今回、INFOBARを通じてご自身の制作活動と改めて向き合ったと思うのですが、その価値基準や原動力はなんでしょう?

土屋:自分らしい表現って、意識しなくても自然とにじみ出てくるものだと思っています。作家の平野啓一郎さんが提唱する「分人主義」という概念を知ったときにしっくり来たのですが、自分が思う「自分」と、だれかが思う「自分」って少しずつ違っていて、見る人によって変わってくるもの。だから、そこはあまり握りしめず、大切にしたい価値観や思考、どうありたいかというスタンスを意識しながら、譲れないものを見極められたらと思います。

小泉:私自身、デザイナーと言いつつ、ジャンルを固定せずに活動しているのは、いろんなものに興味があるし、挑戦したいから。自分というパズルを完成させるためにずっとピースを集めているようなもので、パズルって、ピースの数が多ければ多いほど難しいけど、楽しいじゃないですか(笑)。いろんな“色”が見たいんです。
それこそ、INFOBARxvを手にとってみたら、心躍る感覚が蘇ってきて、初心に返れた気がしました。あの頃のワクワクが、いまも私を突き動かしているのかもしれませんね。

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フードデザイナー

CRAZY KITCHEN

「食時を、デザインする。」をサービスコピーに活動する、オーダーメードのケータリングチーム。料理を届けるだけでなく、料理のまわりにある空間・時間・コミュニケーションまでも設計し、その日その場にしかない食の時間をプロデュースしている。そのため、CRAZY KITCHENへ依頼すると、料理がやってくるのではなく、世界観がまるごとやってくると言える。その他にも、イベントや記者会見、店舗でのフードディスプレイや、商業施設での野菜を使ったワークショップ、レストランや結婚式場へのメニューコンサルティングなど、活動の幅を広げている。

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