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小野原誠 × 最上もが
—「レトロフューチャー×和」の独創的なコラボレーション

カラーパレットの機能美をファッションに投影

——今回の作品で一番印象に残る部分はどこでしょうか?

小野:やっぱりINFOBARのデザインで印象的なのは、あのカラーパレットです。絶妙なバランス感覚で、それ自体非常にファッション性の高いデザインだと思います。機能的で直線的な美しさをいかにファッションに落としこむか……。服である以上、身体に合わせるためにも曲線的な美しさを追求しなければならないので、平面を立体に起こしてから、また平面に落として、何度か組み直しながら調整していきました。

——確かに、直線美と曲線美を両立させるのは難しそうですね。

小野:カラーパレットの位置を1センチ上げ下げするだけでも、服の印象は変わります。そこでイメージしたのは、イヴ・サンローランが1965年に発表した「モンドリアンルック」。当時新しい時代を提示したスタイルが、レトロフューチャーな質感を伴って今の僕らに訴えるものがある。それは時代に左右されないINFOBARの美しさに通じるところがあると考えました。
ただ、INFOBARのデザインをそのまま踏襲してカラーパレットを配置するのではなく、色の境界に黒のラインを入れることで、印象にメリハリをつけました。それから、衣装合わせで実際に最上もがさんに着ていただき、いちばんキレイに見えるようなシルエットやパターンを細かく調整しました。

——最上さんは身につけてみていかがでしたか?

最上:ぼくはファッションの歴史に詳しいわけじゃないけど、純粋におしゃれだなぁ、って。近未来っぽさもあるけど、和傘と相まって日本っぽい仕上がりになるじゃないですか。近未来っぽさと日本っぽさをうまくミックスしていて面白いし、「赤」って強い色のイメージだけど、すごくバランスがとれていて。モデルになれて嬉しかったです。

テクノロジーの発達した今だからこそ見えてくるINFOBARの普遍性

——おふたりはINFOBARにどんな思い入れがありますか。

最上:一番最初に存在を知ったのは、中学生のときでした。当時は、ぼくの一方的な片思いだったんです。すごく好きで、自分でも欲しかったんですけど、中学生でバイトもできないから買えなくて。携帯屋さんでカタログをもらってきて、親の前で「これ、かわいい!」とか話したりして(笑)。
だからもちろん当時、芸能界に入るなんて思わなかったし、今も実感がない日々なんですけど、今回こうしてINFOBARを自分なりに表現できて嬉しかったです。記憶の彼方からばーっと思い出されて懐かしかったし、良いものはちゃんとこうして続くんだなって。

小野:僕がはじめてINFOBARに出会ったのはイギリスへ留学したばかりのとき。日本で携帯は持っていませんでしたが、一時帰国したときにはじめてINFOBARを見ました。見た瞬間、引きこまれましたね。なんと言ってもカラーパレットが印象的で。

最上:当時はキーって全部同じ色でしたもんね。こんなふうにいろんな色が取り合わさってるものってなかったし、だからこそINFOBARのカラフルさにビックリしました。かわいいなぁ、って。今って、みんな同じようなスマホ持ってるじゃないですか。あの頃はアイテムとしてオシャレを追求していたというか、なるべくみんなとかぶりたくないな、みたいなのもあって。

——INFOBARの個性が、中学生だったもがさんの琴線にも触れたんですね。

小野:でも初代から15年経って、普遍的なデザインがこうしてINFOBAR xvとして生まれ変わって、あえてローテクに行くのがいいですよね。最近、キャンプとか外界から隔絶されたところで、たき火をボーッと眺めて過ごす時間がすごく大切で。
今は電波さえ通じていればどこでも仕事ができますが、キリがないじゃないですか。あえて連絡の取れない環境を作ることで、自分の自由に使える時間が生まれるという。そんな精神がINFOBARにもあると思います。

最上:ちょうど今回のINFOBAR xvが発表されたときって、ちょっとSNSと距離を置こうかなと思ってた時期で、スマホってついゲームしたりネット見たりしちゃうじゃないですか。だから、ぼくも普段はスマホだけど、寝室にはINFOBAR xvしか持っていかないとか、2台使いしてメリハリをつけるのもいいかなって思っています。

小野:今はテクノロジーが発達して、すごく便利になってきたぶん、スローライフやアウトドアなど、あえてローテクなものを選ぶ人もいる。多様性の世の中だからこそ、見えてくる良さがありますよね。

最上:でもほんと、これから“ガラホブーム”が来るんじゃないかと思うんですよね。会社員の方で社用にガラホ使ってる人とか見ると、「あ、仕事できるタイプなんだな」って、ぼくはつい思っちゃう(笑)。スタイリッシュでかっこいいな、って。
実際にキーを押したときにすごく心地良くて、手が小さいから、カチカチって打ちやすいんですよね。インテリアのひとつとしてすごくかわいいし、それに合わせて部屋の模様替えをしてもいいかも。

——もがさんなら、何色を選びますか?

最上:うーん、迷いますね……茄子紺? あ、でもやっぱりチェリーベリーかなぁ。ぼく、紫が好きだから。携帯って自分の一部みたいになるから、すごく大切ですよね。

自分の好きなものには、ずっと変わらずに向き合っていたい

——小野さんは普段、どんなところから発想を得ているのでしょうか?

小野:留学時代から感じていたことですけど、やはりヨーロッパに行くと街並みに時代性があって、至るところにアートがある。心の豊かさのベースにアートがあるんです。今でも仕事などでヨーロッパへ行くときには、自然とインスパイアされますね。
あと、ファッションからそのまま触発されるだけでなく、まったく違う業界の人と話したり遊んだりしていると、知らないことばかりで楽しいです。会話の中で、そのときには気づかなくても、どこかピンとくる言葉が残っていて、あとからよみがえってくることもある。意外な組み合わせから新しいものが生み出せると考えています。
今回の和傘も、最初のラフスケッチの段階ではなかったんですけど、INFOBARを見ながら企画のアイデアを出し合っているうちに、和のイメージを出すために和傘があっても面白いかも、という話になって。そこから和傘の柄も洋服とのバランスを考えて、大きさの違うものを2パターン用意して、今回の作品に行き着きました。このアイデア出しも、自分だけでは考えつかないような、新しいアイデアに行き着くひとつのインスパイアかもしれませんね。

——今回、INFOBARを通じて、ご自身の活動と改めて向き合ったと思うのですが、その価値基準や原動力はなんでしょう?

最上:ありがたいことに、本当に幅広くお仕事をさせてもらっていて、ファッション誌、グラビア、競馬にサッカー、将棋とか映画とか……いろんなことから刺激を受けるんですけど、どうあがいてもぼく、オタクなんだなぁ、って。自分らしいと思えるのはやっぱりゲームとかアニメとか、二次元のもの。この前も『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を観始めたら止まらなくて、心が揺さぶられて……。どうあがいても“パリピ”にはなれないんです(笑)

小野:僕も結構、そのオタク気質がベースにあるかもしれません。自分の作品はレース使いにポイントを置いていて、裾から少し覗くくらいレースを使ったり、デニムをレース柄に脱色したり、さまざまなスタイルでレースを取り入れているんですけど、元をたどればコスプレが好きで、ゴスロリ(ゴシック・ロリータ)が好きだったところからスタートしているかもしれないなと。「ゴスロリをガチで作ったら?」みたいな感じで発想することもありますよ。

最上:へー! やっぱり、自分の好きなものって幼い頃からの積み重ねで決まってくるから、変えられないですよね。でも、いろんな仕事をするなかで、求められるからには説得力を出したいというか、めちゃくちゃ特訓して、「これも最上もがだ」って自信持てるくらいには、やってみたいなぁって。ウソはつきたくないじゃないですか。

小野:でも、衣装合わせのときに思いましたけど、もがさんは髪型とかスタイルとか、自分をどう見せたいのかという明確な考えがあって、イメージ通りの方だと思いましたよ。

最上:それはやっぱり、あくまで作品を良く見せたいというか、ぼくは全体のなかの一要素だと思っていて、そのために何ができるかなと思ってるんです。でもリアルなぼくは、ひとりで延々とゲームしてるし、だんだん思考がダメな方向へ行って寂しくなってきちゃうし、それでいて誰かと遊んでると「あぁ、ひとりになりたい……」って思っちゃう。お仕事のときにちゃんと隠せてるなら、それはそれで成長したってことなのかな(笑)
ただ、こうしてINFOBARを見ていると、初心のままでずっと突き進んでいくのもいいなって、勇気をもらえる気がしますね。

——最後に。もがさんはINFOBARxvの3つの色を身に纏いましたが、いかがでしたか。

最上:どの作品もそれぞれ違うパターンで、すごく楽しかったです! いきなりバスタブに浸かることになって、ちょっと裸っぽく見えるし、風船も割れそうな気がしてどうなるかと思ったけど、意外と大丈夫でした(笑)
ナスのイヤリングも、最初はなかなかうまく着けられなかったんですけど、現場でとっさに裏をくりぬいて軽量化してくださって。あそこにあるもの、全部食べられるものなので、パンの甘い香りとかゴマの香りが漂ってくるんですよ。NISHIKIGOIもまさに「錦鯉」!って感じで……。
ほんとみなさん発想が豊かで、頭の中を覗きこみたくなりました。

——ちなみに、もがさんがInspired by INFOBARのクリエーターとして作品を作るとしたら、どんなものを作りますか?

最上:えっ、どうだろう……。ぼく、お花が好きなので、すべてを花で埋め尽くしたいですね。「NISHIKIGOI」なら、椿とか似合いそうじゃないですか。洋服も花柄にして。昔、生け花を習ってたんですけど、なかなか生ける機会がないので、花と組み合わせて何かを作ってみたいです!

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ファッションデザイナー

小野 原誠

1981年生まれ。2002年目白ファッション&アートカレッジ卒業。02年London College of Fashion Foundation(LCF)入学03年卒業、同年Royal College of Fine Art Antwerp(アントワープ王立芸術アカデミー)に入学する。在学中にロンドンのデザイナーBora Aksu氏に出会い中退。2004SSから2006AWまでのロンドンコレクションでの氏の作品制作に携わり、2006年帰国後motonari ono設立。一つ一つ丁寧に作りこむスタイルも得意としており、数々のアーティストの衣装デザインや、グラフィックデザイン、企業の制服デザイン等多岐に渡り活動している。

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モデル

最上 もが

1989年2月25日生、東京都出身。ドラマや映画、バラエティ、ファッション誌などに出演し、マルチに活動中。血液型A型、身長162cm。

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